保育園で乳児の担任をしていたときに、必ずご相談を受けていた、「トイレトレーニング」。
「トイレトレーニング」という言葉が登場したのも近年のことです。
昔は大体3歳くらいになったら布パンツを履く、パンツや衣服を汚してしまったら、保護者が洗う…くらいで、現代ほど深く考えられていませんでした。
なので、子ども自身の発達の度合いや子ども個人のペースなどはあまり考えられておらず、年齢、月齢や、「幼稚園に入る前に」などの理由で布パンツに変えることがほとんどでした。
現代では、子どもが自分から進んでトイレでの排泄ができるように、段階を踏み、子どもの様子や発達度合いを見ながら排泄の自立をサポートしていくという考え方が浸透してきています。
それが「トイレトレーニング」です。
本日は、保育士がおすすめするトイレトレーニングのやり方について解説していきます。
トレーニングを始める目安
トイレトレーニングをスタートするには、子どもの心身の状態が整っている必要があります。
まずはトイレトレーニングをはじめるのに適したタイミングを確認します。
- ひとりで歩く、低い段差に登ることができる
- 言葉が出る、ある程度の意思表示、意思疎通ができる
- おしっこの間隔が2〜3時間程度空く
- トイレに興味や関心を示す
自分でトイレに座るには、ある程度の運動機能が発達していることが前提です。
また、自分の思いを行動に移すことができることが重要です。自分の意思を伝えたり、大人の問いかけにもある程度答えられることが、子どもの意思を確認しながらトレーニングを進める上でも大事になってきます。
1,絵本などで排泄のイメージをつくる
子どもにとって、排泄は未知のものです。トイレで排泄するとはどんなことなのかイメージを作り、「自分もやってみたい」と興味を持ってもらえると良いですね。
トイレに行った際、絵本に出てくる登場人物の名前を出すのも、絵本と自分の行動を紐付けることに役立ちます。
2,定期的にトイレに誘い、便座に座る経験を積む
子どもの生活リズムに合わせてトイレに誘い、定期的に便座に座れるようにします。
食事の前、お昼寝の前など、トイレに行くことを次第に習慣づけ、便座に座ることに慣れるようにしましょう。
自分でおむつを脱ぎ、便座に座り、またおむつを履く流れを伝えながら援助します。
子どもがどうしても座りたがらないときは、無理に座らせる必要はありません。
トイレに対してマイナスイメージがつくと、トイレに行きたがらなくなってしまう可能性もありますので、無理に座らせなくても大丈夫です。
自分から便座に座れたときは、出ても出なくても、褒めてあげてください。
ご家庭では、補助便座や、便座が高い場合は安全な踏み台を付けるなど、子どもが自分で座りやすい環境を整えましょう。
また、トイレに子どもが好きなキャラクターの絵を壁に貼っておいたり、照明を明るくするなど、ご自宅のトイレを子どもが「行きたい」と思えるような場所にしていくことも大事です。
3,成功体験を重ねて自信をもたせる
トイレで排泄することができたときは、「できたね」と認め、褒めてあげてください。
4,トイレに行きたいという意思表示が見られたら
すぐにトイレにつれていきましょう。はじめのうちは、大人が側に付いてあげてください。
尿意を感じて、出る前に保育士や保護者に伝えることができるようになったということは、トイレを我慢する脳や体の機能が備わってきている証拠です。
トイレでの排泄ができるようになってきたら、トイレットペーパーの使い方や、流す方法も様子を見て教えます。
はじめのうちは、トイレットペーパーを適当な長さに切って、箱にいれておくなどの対応も良いですね。
5.布パンツやトレーニングパンツなどに移行する
おむつで排泄することがほとんどなくなり、自分でトイレに行けるようになったら、布パンツやトレーニングパンツに移行します。
子どもが好きで履きたがるようなパンツを用意してあげると効果的です。
失敗してしまった場合にも簡単に処理できるように、ビニール袋や、新聞紙、雑巾、使い捨て手袋、消毒液などを常備しておくと良いです。
保育園では、布パンツを「おにいさんパンツ」「おねえさんパンツ」と呼び、子どもの意欲に繋げる方法を取ることが多いです。
漏れが心配な場合には、股の部分が層状になった、布製のトレーニングパンツを使用する方法もあります。
「紙おむつとは違う」ということは子どもにも分かるので、子どものやる気はそのままに、吸水力の強いものを使うことが可能です。
夜寝るときはパンツにする?
睡眠は子どもにとってはとても大事なものです。
トイレのために睡眠が阻害されることは好ましくありませんので、はじめのうちは、夜間だけはオムツをはいてもよいでしょう。
朝までオムツが濡れない日が続いたら、布パンツに移行することを検討してみてください。
また、布製のトレーニングパンツや、防水シーツなどを活用することも良いでしょう。
トイレトレーニングでやってはいけないこと
トイレトレーニングにおいて、次のような対応はやめましょう。
子どもの心を傷つけるようなことを言う
「トイレでおしっこができないなんて、赤ちゃんだね」
「お漏らしして恥ずかしいね」
など、がんばっている子どもの心を傷つけるような言葉かけをすることは、絶対にやめましょう。
失敗したときに叱る
「またお漏らししたの!」
「なんでトイレでおしっこできないの!」
などの強い叱責は、子どもが自信を失う原因になります。
トイレトレーニングに対して子どもがマイナスなイメージを持ってしまうと、その後、前向きに取り組めなくなくなってしまう可能性もあります。
トイレトレーニングにおける失敗は、「あたりまえ」です。
おおらかな心で、「失敗してもいいんだよ」と受け止めることが大事です。
そうすることで、子どもが前向きにトレーニングに取り組めるようになるでしょう。
他の子どもと比べる
「みんなできてるよ、なんで□□ちゃんはできないの」
など、他の子どもと比較することは避けてください。
発達には個人差があることを念頭におき、「できたこと」を認め、ほめることを心がけましょう。
大人の都合でトレーニングの段階を行ったり来たりする
トイレトレーニング中は、大人の都合で布パンツへの移行を中断しておむつに戻ったり、トレーニングの方法を変更したりしないよう、心がけましょう。
夜間や体調が良くないときは、無理をせず紙オムツを使用して大丈夫です。
【保育士さんへ】保護者との情報共有をしましょう
【保護者に伝えておくこと】
- 園でのトイレトレーニングのやり方
- 洗濯物が増えるかもしれないこと
- パンツやズボン等を多めに持ってきてもらう
- トイレトレーニングに適した、着脱しやすい服装をしてきてもらう
また、保育園でできたことや、家でどのくらいまでできているかの情報共有をし、保護者とコミュニケーションを取りながら、お互いのトレーニングに役立てると良いでしょう。
園でできても、家ではできない、またその逆もありますので、あくまで目安として活用してください。
子どもが自分で着脱しやすい、ゆったりめのズボンなどを履いてきてもらうとトレーニングがしやすいです。
さいごに・・・
いかがでしたか。
トイレトレーニングに関しては様々な情報が出ていますので、逆にどうしたら良いのか分からなくなってしまったり、なかなか進まないと悩むこともあるかと思います。
自分が子どもの立場に立ってみて、自分でトイレに行こうとしたときに、どうすればトイレに行きやすいか、どうすればトレーニングをやる気になるか、考えてみることでその子に合った方法を選びやすくなります。
失敗もおおらかに受け止め、がんばる子どもをサポートしていけると良いですね!
この記事があなたの助けになることを心からお祈りしています。
ーおわりー
参考URL: トイレトレーニングはいつから? 時期・やり方・進め方などコツを教えます
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